何時とは決めていませんでしたが、いずれは私も明野へ引っ越すのは時間の問題でした。私が明野に住んだら、私は何をしたら良いのかと考えました。夫には絵を描くという仕事がある。私は主婦業だけだとしたら、退屈して、いやになってしまうかも知れません。楽しく、生き生きと暮らすために計画を立て、準備を進めました。
1.主婦業
私は未だかつて専業主婦というものを一度もやったことがありませんでした。いつも主婦業は片手間にやって、手抜きだらけでしたので、少し手間暇をかけて主婦業をやってみよう、と思いました。
2.夫の母の介護
夫の母は山梨県峡南地方で一人暮らしでしたが、数年前にガンを宣告されて手術を受け、その後も入退院を繰り返していました。明野に住めば車で1時間の母の元へ度々通ってお世話できると思いました。
3.茶道
若い頃10年ぐらいやった茶道をもう一度やり直してみよう、と思いました。茶道を通じてお友達も出来るでしょう。そこで退職前から再び茶道を習い始めました。道具も少しずつ買い始めました。明野の家なら炉も切れる、と思い、電気炉や茶釜も買いました。
4.自然観察
明野は自然の豊かなところですから、少し深く自然観察をして、記録なども纏めたいと思いました。かねてから二人で「日本野鳥の会」に入っていましたが、会費を払うだけの会員で、活動に参加したことはありませんでした。これを機会に観察会等にも参加しようと思いました。
植物も、山登りの時に高山植物については学んだのですが、身近な植物についても学びたいと思いました。
5.新聞、雑誌への投稿
書くことは嫌いでは無かったので、何か明野の暮らしの中で感じたことがあれば投稿するのも良いかな、と思いました。
6.友達との交流
今までも友達は割と多かったのですが、忙しさにかまけて、手紙など書くことはあまりありませんでした。時間があればマメに手紙を書こう、そして明野にも遊びに来てもらおう、と思いました。
7.旅行、スキー、山登り、ドライブ
此の4つは夫婦共通の趣味でしたから、これからは時間の余裕と地の利を生かしてもっと出来ると思いました。
8.ピアノ、読書、映画
時間の余裕があれば一人で出来る趣味にも取り組もうと思いました。
9.サークル活動
今まで東京で、「町歩きの会」に入っていましたので、月一回の活動には上京して、これまで通り参加しようと思いました。
10.その他
地元の生涯学習講座や、趣味のサークルに参加したりボランティア活動をするのも、友達作りのきっかけになるかと思いました。
これだけの項目を挙げて、私は満足していました。「これで私の田舎暮らしは大丈夫。」と。
この中には野菜作りなど、いわゆる農業に関するものは一つもありませんでした。私の意識の中に無かったのです。
私の明野での生活が最初に意図したものとはかなり違ったものになるとは、予想もしていませんでした。
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